崖東夜話 第五夜(2024)「夜を考える」

東京文化資源会議とアッサラームファンデーション、寛永寺、神田明神、東京復活大聖堂(ニコライ堂)、湯島聖堂、湯島天満宮の6施設が合同して運営している社寺会堂研究会では、これからの日本の精神文化の在り方を考えることを目的に毎年行なってきた「崖東夜話」を本年も第五夜として開催いたします。

テーマ:夜を考える

各宗派における夜の持つ意味、人々の生活の中でどのような活動が夜行なわれてきたか等を知ることを通じて、今後の日本社会における人々の夜の過ごし方、夜の持つ意味を再考する機会とします。また、宗教施設だけでなく、ナイトライフの充実に関係する諸施設からの視点や文化的要因も取り入れた議論とします。

日時・場所

日時:2024年11月14日(木)午後5時~7時(開場午後4時半)
場所:神田明神文化交流館令和の間(4階)
聴講:無料、事前申込制(peatixよりお申し込みhttps://gaitoyawa2024.peatix.com

実施形式:ラウンドテーブル

社寺会堂研究会参加施設、有識者、関連施設からの参加者10名程度からなるラウンドテーブル形式で開催します。聴講者はラウンドテーブルを囲む形で議論を聞いていただくことになります。

討論者(敬称略、50音順)

  • 対中秀行(ニコライ堂主任司祭)
  • ターリク ファタヤーニ(アッサラームファンデーションディレクター)
  • 鳥居繁(神田明神権禰宜)
  • 中島隆博(東京大学教授・東洋文化研究所所長)
  • 中村泰士(野村不動産ホテルズ運営統括部長)
  • 宮部亮侑(寛永寺執事)
  • 横山泰子(法政大学教授)
  • 吉見俊哉(東京文化資源会議会長、國學院大学教授):司会
  • 渡辺直(湯島天満宮権禰宜)

討論者紹介

対中秀行 ニコライ堂主任司祭

日本ハリストス正教会教団・東京復活大聖堂教会主任司祭。東京正教神学院卒業後、釧路正教会、盛岡正教会管轄を経て現職。ニコライ堂(東京復活大聖堂)の運営を担いながら、TRANS ARTS TOKYO 2016「湯島の杜と駿河台」への登壇や東京文化資源会議「湯島神田社寺会堂プロジェクト」に参画。

ターリク ファタヤーニ アッサラームファンデーションディレクター

シリア出身、フスルフィッヤ(イスラム学校)を経て、2008年にアレッポ大学工学部機械工学科経営工学専攻を卒業。2016年、東京工業大学社会理工学研究科経営工学博士号を取得。東京工業大学在学中にSMAGROUP合同会社を設立し、日本企業向けにWEBマーケティングやテレワーク推進のために経営に関わるITコンサルティングサービスを提供。経営的な効果を出すための業務システムやWEB系システムの企画・導入支援を得意とする。日本ではあまりイスラムのことが知られていない、テロや危険といったイメージばかりが先行していると感じている。イスラムおよびアラブ諸国についての講演多数。アラビア書道を通して美しさのみならず、イスラム文化の面白さ、楽しさ、深さを伝えたいと考えている。

鳥居繁 神田明神権禰宜

神田の生まれ。平成八年より神田神社に奉職。氏子町会に生まれながら産土神社に奉職する珍しい神職である。町会の青年部に在籍していたことから「お祭り入門講座」を企画。平成九年から続いている文化講座「明神塾」を担当。正しい巫女さんの姿を伝えるべく「巫女さん入門講座」を開催。実家である小川町三丁目に鎮座する「五十稲荷神社(ごとおいなり)」の宮司をも務める。

中島隆博 東京大学教授・東洋文化研究所所長

東京大学東洋文化研究所所長・教授。湯島上野社寺会堂塾の塾長を務めた後、中島隆博・吉見俊哉・佐藤麻貴編『社寺会堂から探る 江戸東京の精神文化』(勁草書房、2020年)を刊行。江戸から東京にかけての記憶の断絶と構築の中で、精神文化も大きく変容していったことを考えさせられた。近作としては、伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編『世界哲学史』全8巻+別巻(ちくま新書、2020年)、中島隆博『日本の近代思想を読みなおす 1 哲学』(東京大学出版会、2023年)などがある。

中村泰士 野村不動産ホテルズ運営統括部長

2007年に野村不動産に入社し、商業施設開発などに従事。15年から同社初の直営ホテル事業を立上げ、18年11月に「地域との深いつながりから生まれる素敵な経験」をコンセプトにした「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)上野東京」を開業。20年9月「ノーガホテル秋葉原東京」を開業し、総支配人として運営業務に従事。2022年4月よりノーガホテル3ホテル、庭のホテル東京の計4ホテルの運営統括業務に従事。

宮部亮侑 寛永寺執事

東叡山寛永寺執事、寒松院住職、大正大学非常勤講師、天台宗総合研究センター研究員。専門は法華思想。著書に『天台仏教の教え』(共著、大正大学出版会、2012年)他論文多数。

横山泰子 法政大学教授

1965年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業、国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程修了。現在、法政大学理工学部教授。専攻は日本文化史、比較文化。著書に『江戸東京の怪談文化の成立と変遷』(風間書房)、『四谷怪談は面白い』(平凡社)、『江戸歌舞伎の怪談と化け物』(講談社),『妖怪手品の時代』(青弓社)など。

吉見俊哉 東京文化資源会議会長、國學院大学教授

國學院大学観光まちづくり学部教授・東京大学名誉教授。専門は、社会学・文化研究。集まりの場でのドラマ形成を考えるところから近現代日本の大衆文化と文化政治を研究。演劇論的アプローチを基礎に、日本におけるカルチュラル・スタディーズの中心的存在として先駆的な役割を果たした。著書に『都市のドラマトゥルギー』(河出文庫)、『視覚都市の地政学』(岩波書店)、『五輪と戦後』(河出書房新社)、『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』(集英社新書)など。

渡辺直 湯島天満宮権禰宜

平成13年3月 國學院大學文学部神道学科 卒業。同年4月 湯島天満宮 奉職


崖東夜話(がいとうやわ)とは

聞いたことがないけれど、と思われた方が大半ではないかと思います。それもそのはずで、第1回イベントのためにつくられた造語です。このイベントに参加する多くの学術・宗教施設が、本郷台地その他東京の東の台地にあり、崖の下には昔は海が広がっていました。崖の東で、そして夜静かに、普段忙しくて忘れていることを語り合おう、というのが「崖東夜話」と名付けた理由です。
この企画を考えた湯島神田上野社寺会堂研究会は、東京文化資源会議のプロジェクトとして、「崖東」周辺の学術・宗教施設関係者が集まって5年前に立ち上げた、有志による緩やかな組織です。その目的は、これら諸施設がこれまで果たしてきた社会的役割の評価と現在の問題点(ハード・ソフトの両面)を整理し、今後の日本における社会理念・社会倫理形成において果たすべき役割を様々な角度から考えようというものでした。
最初はお互いにどのような歴史と考え方を持っているかを理解しあうところから始まり、パンフレットや報告書の作成、シンポジウムの開催、より深く学ぶための塾の設置などを通じて理解が深まり、初の共同イベントとして取り組んだのが、この崖東夜話なのです。
その開催の社会的目的は三つあります。
① 湯島神田上野地域に存在する、東京を代表する学術・宗教施設の歴史的・文化的・社会的意義を再発見して、これからの我が国における豊かな精神文化醸成の重要性について考えていただくきっかけにする。
② 5年間にわたる湯島神田上野社寺会堂研究会の成果として、施設間の相互理解・連携・協力が進んできたことを社会的にアピールする。
③ 昼間の喧騒を忘れて夜間開催することで、ゆっくり、じっくり、ものを観たり、学んだり、考えたりする(観・学・想)新しいナイトライフ・生活スタイルを社会に提案する。
今回のような異なる宗派・学術団体を横断して共同のイベントを行うことは、本邦初あるいは世界初の試みかもしれません。このイベントを通じて、異なる思想倫理宗教を率直に理解し合い、新しい精神性や宗教性のこれからの在り方を考えるきっかけとなることを願っています。


東京文化資源会議とは

2015年に産官学民の有志で立ち上げた団体。東京、特に江戸時代から現代までの文化資源を多様かつ豊富に持っている都心東部地域を対象に、文化資源の発掘・保全・活用の推進・普及を目的とした様々なプロジェクトを展開しています。今回の湯島神田上野社寺会堂研究会もそのひとつです。また、近年は活動対象地域も、東京全体に広げつつあります。


 東京文化資源会議HP

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